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さとうしのぶコラム バックナンバー2016

新しいものは下に追加されます。


1月

  あけましておめでとうございます。
 私は雪の比叡山で新年を迎えました。

宿坊の比叡山会館で、写経をし、年越しそばを頂いて、10時前、帽子、マフラー、手袋、発熱素材のインナーにホカロンも着けていざ出発。雪は無いけれど深々と冷える根本中堂の前には火が炊かれ、甘酒や大根炊きがふるまわれ、ひととき寒さを忘れます。
 10時頃から、根本中堂での法話に続き修正会。大勢の参拝の人達で姿は見えないけれど、薄暗い堂内に響く僧侶達の声明を聞きながら、今年も終わるのだなあと一年を振り返ったりしました。
その後根本中堂前の広場で鬼追式が行われます。
人間の悪行、むさぼり、怒り、ねたみを現す、黄色い笑い鬼、赤い怒り鬼、青い泣き鬼、それらすべてを供え持つ最強の鬼が大暴れし、修行僧に調伏させられ、改心するという筋立てで、この一年の自分を反省し、新たな気持ちで新しい年に向かうという意味があるそうですが、鬼のお面の顔や、着膨れた姿、動作がユーモラスで反省するのも忘れてしまいました。

 そして除夜の鐘つき。鐘をつく棒にはロープが5本付いていて、5人でそれぞれのロープの端を持ち1回つくのですが、私の整理番号は47番目。だいぶ待たなければなりません。じっと立って待っていると身体が冷えてきます。そうしているうちに静かに年が明けました。
すると雪がちらほら降り始めしだいにその量をましていき、降りしきる雪が頭や肩に積もりだした頃、ようやく私達の番になりました。
5人の意気が合って
、ごお〜ん〜 と心に届くいい音がでました。

 宿坊に帰って、床に就いたのが1:30頃。
 元旦は6:30からお朝事があったのですが、目が覚めたら7:00前。あきらめて食堂に行くと、前面ガラスばりの窓から、今昇ったばかりの初日の出が、琵琶湖の空を染めていました。
精進料理のおせちとお雑煮を頂いた後、阿弥陀堂まで歩いてみました。空は快晴、昨夜の雪がうっすら積もり、お堂や塔の屋根、木々、燈籠やお地蔵様、敷地も昨夜とは打って変わりお参りする人の姿も無く真っ白で清らかな世界に変わっていました。この元旦の清清しい気持ちを大切にこの一年を過ごしていきたいと思いました。

 毎年、今年の目標というのは無いのですが、今年の希望として、できるだけスケジュール表に予定を入れないようにしたいと思っています。昨年は個展を含め出品した展覧会が16回。
作品作りは楽しいのですが、いつも次のことを考えていて今をおろそかにしているような気がします。時間に追われ続けているような生活ではなく、ゆっくり今をあじわい、楽しむ生き方ができればいいなと思っています。
銅版画クラスの皆さんも10月に展覧会がありますが、間際になって慌てないように、1月からゆっくり楽しんで制作して欲しいと思います。


2月

年が明けたと思ったら、もう一月が終ってしまった。地球の回転が年々速くなっているような気がするのは齢をとったせいでしょうか?
 この冬は暖かい日が多く過ごしやすいけれど、水溜りに張った氷をバリバリ踏んだり、霜柱をザクザク踏んで歩かないと冬の実感がありません。寒ければ寒かったで文句を言うのに、勝手だとは思いますが・・・

 今年は申年。と、いう事で、東京都動物園友の会主催の「ニホンザルの群れにボスはいない」という講演会があり、友の会の会員である私は興味津々で聞きに行きました。
 講師は宮城教育大学名誉教授の伊沢紘生先生で、のっけから「ニホンザルの群れにボスはいます」と言われたので「えっ!いないんじゃないの?」と頭が混乱してしまいました。「ボスは二箇所にいます。一つは動物園のサル山や、餌付けしているサル園。もう一つは、マスメディアによって、そう思い込まされている我々の頭の中です」ということなのです。
 TVの動物番組で、ニホンザルのドキュメンタリーなどを見ていると、ボスの○○、次期ボス候補の○○とか、順位が高い低いなどと言っているし、ボスが、食べ物の美味しいところやメスを独占し、掟破りのサルには制裁を加え、外からの危険に対しては身をもって群れを守り、安全な所に誘導するなど群れを上手に統率していると解説しているような気がします。そしてこれが私のボスザルに対するイメージでした。
 確かに大きくて腕力の強いサルがいて、食べ物の美味しいところを食べることができるけれど、他のサルに横取りされないように緊張して尾を上げ、さらに強そうにみえている。
何かあったら真っ先に逃げることができるので、その後について逃げるサル達を率いているように見えるけれど、ボスのような役割はしていないらしいのです。
 動物の定義である、個体維持機能(食べる。他の生き物に食べられない)、種族保存機能(交尾)を、個々のサルが自由に行っているのだそうです。

 同時に群れのまとまりを維持するために、お互い気にし合い、頼りあい、仲間意識を持って生活しているのです。
それは、権力や順位、役割や罰則の無い社会で、私達が考えていた、ボスを中心とした、上下間関係が厳しく決まっている社会とは反対の社会です。
 動物園など空間と時間が限られると競争がおこり、勝ち負けの原理でボスらしき存在が現れるというのは、人間社会に似ているような気がします。
そう考えると人間社会より、野生ザルの社会のほうが暮らしやすそうな気もします。

 もう一つの演題は「東北の野生動物と東日本大震災」
 あれだけの被害のあった大震災で、野生動物もどんなにダメージを受けているかと思いきや、建物が流されて出来た広々とした瓦礫の原で雲雀がたくさん営巣していたり、津波でヘドロが無くなったきれいな海で、牡蠣が大量に育っているとか、動物はしたたかに生きているのですね。
 動物の一員である私達も、野生動物、自然から学ぶことがたくさんあるのではないかと思った一日でした。




3月


三寒四温の言葉通り、春の陽気かと思えば冬に逆戻りしたりして、もうすぐ春というところに来て風邪をひいてしまいました。微熱があるので今日はどこへも出かけず、暖かい部屋でコラムを書くことにします。
 我が家の庭は、冬の間から薄ピンクの椿、黄色の水仙、紫のクリスマスローズ、ピンクのゼラニウム、パンジー、ビオラなどが咲いていますが、春の気配を感じてアネモネの蕾がふくらみ、チューリップも葉っぱをぐんぐん伸ばしています。それよりも元気なのが雑草達で、ハコベやオオイヌノフグリ、ホトケノザなどがベージュだった庭を緑に変えつつあります。生き物が命を謳歌する春はやっぱり何だか嬉しくなる季節です。
 3月は卒業シーズンですね。
私も昨年春に入学した仏教塾の最後のレポートを、数日前に書き上げたので、それが及第点を頂けるか?それと数日後にある般若心経の試験に合格すれば卒業できるのですがどうなることやら・・・。
 卒業できるかどうかは別にしても、この1年、仏の教えを学んだことは私の人生にとって大きな収穫でした。今まで揺らいでいた心が落ち着いて、これからは迷わず生きていけるような気がしています。

 私は禅宗を選択したので、修行と言えば坐禅です。なかなか無心にはなれませんが、心が落ち着いているのを感じれるようになってきました。修行だけでなく家でも坐禅をしようと坐禅用の座布団を買ったのですが、坐ったとたんに犬と猫がやって来て脚の上に乗って丸くなってしまうので精神統一どころではありません。

 無我の心、空を学び、自我を捨ててどうやって作品を作ればいいのだろうと悩んだりもしましたが、今ここにいる自分をありのままに表現することが、充実した人生を生きることになるのかなと思い、これからも素直な心で作品を作ってゆきたいと思っています。
 今年は10月に銅版画クラスの作品展があります。タイトルは「わたしの履歴書」。
目の前の風景や静物を描いても又想像の世界や抽象画でも、それは作者が生きてきた何十年かの時の積み重ねがあってできた作品です。1枚の作品にはその人の歴史がつまっているのです。銅版画クラスの皆さんがどんな自分を描き留めるのか・・・。これから春、夏と楽しんで制作に励んで頂きたいとおもいます。



4月


春が来た!
 やっぱり春は何だか嬉しい。

 数日前に上野に行ったら桜が満開だったけれど、家の近くの村田川はまだ三部咲き。でも土手は雑草の花盛り。菜の花やたんぽぽの黄色、カラスノエンドウ、ヒメオドリコソウの赤紫、ハコベ、ナズナ、ハナニラの白、オオイヌノフグリのブルー、スミレの紫、それに土筆のベージュも混じって色とりどりの春の絨毯です。その中をモンシロチョウやモンキチョウがひらひら舞って、鶯の声に蛙の鳴き声が重なって、思わず顔がほころんでしまうほど本当にのどかな風景です。我が家の庭の草達ももう暫く抜かないでおきましょう。

 昨日は東京の杉並区にある善福寺公園に桜を見に行きました。
ここは私が中学一年から二十歳まで過ごした所です。善福寺池の辺の、我が家があった場所のお向かいに「葉月ホールハウス」という多目的のかわいらしいホールができていて、昨年「しょうぶ学園」のイベントに行き、地図を見て近いとは思っていましたが、目の前だったのでびっくりしました。窓からは懐かしい公園も眺められ、こぢんまりとして落ち着いた空間です。

書道をやっている妹に、ここで「二人展」をしようと声をかけ、お花見がてら下見にいったのです。ちょうど女性作家9人展」というのをやっていて展示の参考になりました。

 オーナーの女性は20年前からここに住んでいるそうですが、その頃は、私達と同時代
に住んでいた方がまだいらしたそうで、時間が急に圧縮されたような不思議な気持ちになりました。

 私は父と母の俳句と銅版画を組み合わせて手作りで一冊だけの本を作ったことがありましたが、妹も母の句を書の作品にしたりしているので、父と母の俳句ともコラボして家族四人の作品を四人で暮らした思い出のこの地で発表できたらと思っています。

 ここを去ってから50年近く経っているので、私の友人でこの近くに住んでいる人はもういないのですが、妹は小4から住んでいたので、クラス会などもやっていて、今でもお付き合いしている友人も何人かいるので、オープニングには○○ちゃんにピアノを弾いてもらおうとか、夢はどんどん広がってゆきます。
 
 来年の桜の頃の実現に向けて、今までの人生を振り返えり、その月日があって存在している今の自分を表現する作品作りをしていきたいと思っています。


5月



気がつけば、桜が新緑に変わり、田んぼでは蛙の鳴き声がして、ツバメが巣作りしています。我が家の庭もナガミヒナゲシのかわいらしいオレンジ色の花が咲き乱れているので、草取りを先延ばしにしているうちに叢に変貌しつつあります。いのちって凄い!
 リビングのカーテン越しの光ももう初夏の明るさです。網戸になって風の入る窓辺で猫の小梅はずーっと庭を見つめています。

 5月1日〜3日、ログ・アトリエ、子供クラスの展覧会「ログのクロック展」がありました。会場は、銅版画クラスの生徒さんが毎週お昼を食べに行ったり、出前を取ったりしている中華料理店「芳葉」さんです。店内の半分をお借りして、業者さんにパネルなどで展示する壁面を作って頂き、100数十点の楽しい掛け時計や置時計を展示しました。小さな会場はご家族や通りすがりの人達でいっぱい、大盛況の地元密着型展覧会でした。

 ログ・アトリエの教室の方は、大人のクラスの作品も展示し、ワークショップの会場になりました。レザークラフト、フラワーアレンジ、七宝焼き、キャンドル、カリグラフィー、デッサン、カラーセラピー、キッズネイルなど、子供から大人までたくさんの方が参加されました。
 版画も、石川先生による塩ビ板を使ったドライポイントを行い楽しんでいただきました。
銅版画作品を見たり、制作する機会はあまり無いと思うので、この体験を通して凹版画の世界を少しでも知って頂ければ嬉しいです。次に銅版画作品に出会った時の、見え方が違ってくると思いますよ。
 銅版画クラスでは、随時、体験を行っていますので、是非一度プレス機を回しにいらしてください。

 秋の銅版画クラスの展覧会も、子供達に負けないように頑張りたいと思います。人数は少ないけれど、中年(?)パワーをおおいに発揮して頂いて、いい展覧会にしたいと願っています。

 展覧会といえば、6月26日まで松山庭園美術館で開催している「猫ねこ展覧会」に今年はアルミのねこ3匹を出品しています。松山庭園美術館は、匝瑳市にあるお庭の素敵な美術館で、9匹のねこ達が庭や館内を悠々と歩いていたり、寝そべっていたりして、猫好きにはたまらない美術館です。170名の作家の作品の展示のほか、毎週ねこ関係のワークショップをやっています。興味のある方は是非・・・

 毎年恒例のログ・アトリエ有志による「ログゥ展」も今年で18回目、5月20〜25日、ギャラリー古島で開かれます。

 私の版画仲間のグループ展「アニモ銅版画クラブ展」は、5月19日〜24日。スペースガレリアです。ワークショップもやりますので詳しくは展覧会情報をご覧ください。

6月



5月は子供クラスの展覧会と、銅版画クラブ「アニモ展」があり、バタバタと過ぎてしまい、いつの間にか我が家の庭は紫陽花の季節になっていました。
「忙しい」という字は心を亡くすと書くので、なるだけゆったりと落ち着いて生きてゆきたいと思っているのだけれど・・・65歳にもなると、元気に動ける残り時間はあまり無いわけで、やりたい事のてんこ盛りになってしまいます。そのくせ体力は落ちる一方なのでもうへろへろです。

 5月は展覧会もいろいろ見ました。「若冲展」には3時間並んだ挙句、人の頭越しにしか作品を見ることができずがっかり。
それとは裏腹に、鎌倉国宝館の「禅の心と形」はがらがら。禅についての講演会もあっておもしろかったのですが、企画された方が入館者が少ないと歎いていました。
千葉市美術館の「吉田博展」は油彩や水彩も良かったけれど、やはり木版画が版画でここまでやれるのかという感じで興味深かかったです。
「ねむの木学園のこどもたちとまり子美術展」はこども達の無心さ、一途さ、素直さと宮城まり子さんの愛に心打たれました。ちょうど皇后様がお見えになり、私達来館者にもお声をかけてくださいました。
始まったばかりの千葉市美術館の「ふたつの柱」。タイトルだけ聞くとなんのこっちゃ?と思うけれど美術館のコレクションのふたつの柱である江戸絵画と現代美術を同じ空間に展示するという試みで、大きな山水画の近くにある現代美術作品が何だか風景に見えてきたりして・・・いつもと違った見方ができておもしろかったです。

 それに友人が出品している「国展」と「新工芸展」。団体展では特に感動するという事は無いけれど、あんなにおおきな作品を描く作家の意欲に関心してしまいます。
 「ログウ展」は今年は少しメンバーが変わり、新しい風が吹いたかな?それぞれ個人的にはいろいろ事情があると思うけれど、よく頑張って続けてきたなと、拍手したい気持ちです。その他、友人のグループ展や個展など盛りだくさんでした。

 そんなあわただしい5月の締めくくりに、長野県の八千穂高原にハイキングに行きました。秋に行った時は、白樺の葉が黄金色に輝いて美しかったけれど、今は新緑の葉に陽光が透けてすがすがしい。エゾハルゼミのせみ時雨の中、みどりのそよ風に吹かれながら森の中を歩いていると、生き返った気がします。そして、人も自然の一部だという事を思い出します。人は時々自然の中に身を置いて自分を見つめてみるのがいいのではないでしょうか。
 そろそろ梅雨入り。自然の中へ行けなくなったら、おうちの中で版画でも作りましょう。



7月



超高速で今年も後半の部に突入してしまいました。
毎日が夢のように過ぎていってしまうと感じるのは年のせいでしょうか。

 まぶしい陽光とむっとする暑さで、めまいがしそうになるのですが、6月も緑の中で身体と心をリフレッシュして来ました。
 3月に卒業した仏教塾の同期生で、秩父に住んでいる方のお誘いで、「お坊さんの先達で巡る秩父三十四観音」という催しに参加しました。
千葉からだと朝の集合時間に間に合わないので、前日から秩父に行き、いろいろ散策し、名物のお蕎麦を食べたりして駅前のホテルに泊まりました。

翌日は、お天気にもめぐまれ、鳥の声を聞きながら、緑の中を歩いていると、日常の諸々から開放されて、心がやわらかくなっていくような気がします。
けれど、お坊さんが一緒なので、ハイキングではなく巡礼なのだという少し引き締まった気持ちも無いわけではありません。
 お寺に着くと皆で声を合わせて般若心経をお唱えし、納経帳に印を頂きます。最後には反省会と称する飲み会もあり、汗をかいて歩いた後のビールは格別でした。今回は二九番から二六番札所まで歩きましたが、後三十寺、それぞれの季節を楽しみながら少しずつ歩いていきたいと思います。

 もうひとつ、先月楽しかった事。

 カラーメゾチントが美しい銅板画家、浜口陽三の美術館「ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション」で、浜口陽三夫人の南桂子の「南桂子展・風のあわいにー小川イチの作品と共に」が8・7まで開かれています。
 南桂子は繊細なエッチングで、少女や鳥や樹などをカラーで刷った、かわいいけれどちょっと淋しさも感じる詩情あふれる作品を作る銅版画家で、私は大好きです。
 この展覧会をイメージしたワークショップ、手製本「重ねて物語をつむぐノート」というのに参加しました。
 私は本を読むのも好きですが、本の形、手ざわり、におい、ページをめくる楽しさが好きで、電子書籍というのは読む気になれません。
 今まで参加した製本関係のワークショップは、製本の技術を学ぶものがほとんどでしたが、今回のは、南桂子さんの「風のあわいに」にぴったりの企画で、いろいろな種類(色、厚さ、手ざわり)の紙を好きなように切ったり折ったり、破いたりしたのを10枚くらい、表紙の紙と一緒に糸でとじ合わせて自分だけのノートを作るというものです。
 私は紙も大好きなので、あれもこれも使いたいと悩んでいるうちに時間が足りなくなって、うまくまとめられませんでしたが、持参した銅版や木版を刷った和紙なども綴じこんでなんとか完成しました。透ける紙などを重ねたりしたところもあり、ページをめくる度に違う世界が現れてたのしいノートになりました。ここに詩でも書ければ最高なのですが、苦手なので、ページごとにイメージする言葉や文字や絵などを書き入れてみたいと思います。
 
 もうすぐ夏休み。美術館や博物館ではいろいろなワークショップをやっています。何かおもしろそうなものを見つけて参加してみてはいかがですか。ちょっと世界が広がるかも・・・


8月



ようやく梅雨が明けて、本格的な夏がやってきました。
 昼間の暑さが少し和らいだ夕暮れ時、犬の散歩に出かけます。
日が落ちて薄暗くなり、烏瓜のもやもやとした白い花が咲き始める頃、ヒグラシが鳴くうっそうとした木立の道を歩いていると、あの世とこの世が交錯しているような不思議な感覚に陥ります。
目には見えないどこかに、あの世の入り口がぽっかり開いていて、懐かしい父や母や夫や先に逝った友たちが出入りしているような・・・。
お盆が近いせいか、母や夫の命日が8月だからなのか、夏の夕暮れになるとこんな気持ちになるのは私だけでしょうか。

 7月後半 根津での個展が終るとすぐに、私は鹿児島に旅立ちました。
鹿児島は父と母の故郷で、母が実家で私を産んだので、私も一応鹿児島生まれです。父の親戚は鹿児島にはもういませんが、母方のいとこ達が何人かいます。皆私より年上なので、会える機会も少なくなると思い、19年ぶりにでかけました。
いとこ達とは今まで数回しか会ったことはないのだけれど、すごく親しみをかんじるのは、やはり血の繋がりでしょうか。
 
 鹿児島に行きたかった理由は他にもあって、以前にもコラムに書いたことのある、知的障がい者のアート工房「しょうぶ学園」に行ってみたかったのです。
都美術館での「楽園としての芸術」で感動し、葉月ホールハウスでのシャツ展と映画、園長のお話などで、ますますファンになり、ほんの少しだけれど障がい者のアートに関わっている私としては、現場を見てみたいと思っていたのです。

 広い敷地の中には、木の工房、布の工房、土の工房、和紙の工房、絵画の工房などがあり、作家である利用者さんたちが、黙々と制作しています。絵画の工房では、都美館で私が感動した濱田さんの絵が床、壁、テーブル、椅子を埋め尽くし、その中で濱田さんが、淡々と濱田さんの世界を増殖し続けていました。

 園庭には羊とロバが飼われていたり、ブランコやツリーハウスがあったり、楽しい雰囲気に満ちていて、その中にパン屋さん、お蕎麦屋さん、レストランがあり、職員と利用者さんが働いています。お店で使われているテーブルや椅子、食器類はどれもしょうぶ学園製です。私は生パスタセットを頂きましたが、とても美味しく、接客も丁寧でした。
建物の壁や床には利用者さんの作った陶板が埋め込まれていて、素敵な木のドアは職員の手作りです。
 ギャラリーは2箇所あり、大きい作品が展示されていました。
植物のお店もあり、植木鉢はかわいらしくペイントされています。
作品(製品)を販売しているショップは欲しい物だらけで、困ってしまいます。私達が作業所で作った物を福祉まつりなどで、安く販売するのとは違い、コーリティーの高い製品をアートとしてそれなりのお値段で販売しているので、たくさんは買えません。これらはアーティストの作品なのですから・・・

 私は作品を見て、彼らの無心さ、独創性に感動したのですが、現場を見て感じたのは、職員のサポートのすばらしさです。利用者さん一人一人の個性を見極め、自由に制作できる環境を整え、作られた作品のおもしろさを損なう事なく加工、デザインして製品に仕上げていく。そして外に向かって発信していく。利用者さんと、職員のコラボがすばらしい作品と幸せな空間を作っているのだと思いました。

 私と障がい者の方との関わりのなかでも何かできたらいいなと考えています。



9月
 
今年の夏も暑かった。年々夏がつらくなる気がするのは年のせいでしょうか・。
 夏休みになったら断捨離しようとか、庭の手入れをしようとか、いつも手を抜いているお風呂場の掃除を頑張ろうとか思っていたのに、何ひとつ手をつけず・・・。

せっかくの休みなので、やらなければならない事はひとまず置いといて、やりたい事優先でいこうと決めました。
今日の予定が決まってないというのは開放感いっぱいです。

展覧会は自分の空いている時間にいけるけれど、普段なかなか行けない落語を聴きに行ったり、映画を観に行ったり・・・。後は家でたまっていた本を読んだり、犬猫とまったりしたり・・・。制作もちょこっとやって・・・。
オリンピックも見たけれど、4年前のロンドンオリンピック開催中に亡くなった夫のことを思い出してちょっと悲しくなったりしました。

 楽しい夏休みも終わり、9月に突入しましたが、日中はまだまだ暑くて今一パワーが出ないけれど、秋は展覧会シーズン、私も出品予定がいろいろ重なっているのですが、ログ・アトリエの版画展(10月13日〜)も迫ってきました。 後一月、最後の追い込みもなく皆さん余裕です。

 絵というのは自分を表現するものです。
というか自分が表現されてしまうものです。だから意識していなくても、作品には描き手の人生が反映されていると思います。同じ物を描いても100人100通りの絵ができるのはその為です。1枚の絵にその人の生きた何十年かが詰まっているのです。その人の人生はその人だけのものだから、その人の絵はその人だけのものです。

だから他人と比べても意味が無いのです。

特に版画は一度版に自分の想いを刻んで、それが反転して刷り上ってくるという工程に今の自分との時間差があり、足跡的な感じがします。そんな意味をこめてタイトルは「私の履歴書」です。
私を含め12人のどんな履歴書がみられるかお楽しみに。




10月

まだ暑い日もあるけれど、秋の気配が少しずつ濃くなってゆく今日この頃。早くも今年も残すところ後三ヶ月になってしまいました。

 相続く台風を心配しながら、10月1日から一泊で「東京動物園友の会」のツアーで宮城県に行って来ました。

 東京を出る時は雨模様だった空も仙台に着くと日差しがまぶしいくらいでした。
1日目は「八木山動物園」と「海の杜水族館」の見学。園の方のお話が聞けるのが友の会ツアーならではのお得なところです。動物園のシジュウカラガン、水族館のヨシキリザメなど、この地方ならではの展示が印象に残りました。

 2日目は金華山での自然観察。気仙沼の海沿いの町は3・11からの復興がまだまだ進んでいない感じで、そんな何も無い船着場から船で金華山へ。金華山は奈良と同じように鹿が神のつかいとされていて、鹿せんべいこそ売っていませんが、金華山神社の周りには普通に鹿が歩いています。午前中はニホンジカの研究者の方からお話を聞き、神鹿の角切りを見学しました。午後は長年金華山のサルを研究されている伊沢紘生先生の案内で山に入り、植物や動物の説明を聞きながら進み、前日からA群のサルを追っている研究者と連絡をとり合って群れのいる場所に向かったのですが、帰りの船の時間が迫り、やむなく断念。サルに会うことはできませんでしたが、サルの糞や、食べ残しの茸やカヤの実などを見ることができて、確かに近くにサルの存在を感じる事ができました。

 自然の中に身を置くと、自分が自然の一部だという事を思い出し、謙虚な気持ちになります。

  自然の中で気持ちの洗濯をして、さあいよいよ13日から「ログ・アトリエ銅版画展」がはじまります。各人それぞれのテーマや技法で制作した銅版画達をぜひ観にいらしてください。

 初日にはオープニングパーティーをします。DMの自画像の本人がお待ちしています。明山さんの尺八演奏もありますよ。

 15日はワークショップがあります。塩ビ板を使ったドライポイントを体験してみませんか?

銅版画に興味のある方、銅版画を見たことの無い方、お向かいの美術館を観にいらした方、皆様のお越しをお待ちしています




11月

2年ぶりの展覧会、
銅版画単独では8年ぶりの「ログアトリエ銅版画展」が10月13日からスペースガレリアで開かれました。月1回の生徒さんが多いので、作品数が少ないのではと心配しましたが、開けてびっくり!
一人一人個性的な作品が勢揃い。額装にもその人らしさが表れて楽しい展示になりました。自画像も最初は皆描くのを嫌がっていたけれど、それぞれ工夫を凝らして面白い作品になり、お客様に作者を当ててもらったりして楽しんで頂きました。

お客様にいろいろ感想を伺う事ができて、励みにもなったし、発表の場は必要だなと感じました。
初めての試みだったオープニングパーティーも、ギャラリーの尾谷さん、ログの上田先生、生徒さんやお客様の差し入れもあり、豪華な宴になりました。明山さんの尺八演奏は素敵な選曲でしばしうっとり。生徒さん同士の親睦の場にもなりました。
これこらも定期的に展覧会ができるように、作品制作頑張っていきましょう。

 ログ展も無事終わり、芸術の秋っぽい事をしたいなあと横浜美術館のワークショップ「小さなブレンズ像を作る」(全2回)に参加しました。
私が作るのは勿論猫。蝋で原形を作り、ブロンズが流れる湯道という蝋の道をつけます。
金属の筒に原形を入れ!石膏を流し込みます。一回目はここまで。
二回目はそれを焼いて蝋が溶けて空洞になったところにブロンズを流し入れます。固まったら石膏を洗い流して、湯道を切り落とし磨いて完成です。
私の猫はいちばん下になる耳の先までブロンズが届かず片耳になってしまいましたが、それもちょっと不憫でかわいいかなと、初めての経験を楽しみました。小さな作品だけれどずっしりとした金属の重みが本物っぽくて何か嬉しい。

芸術の秋、観るのも良し、創るのも良し、皆さんも楽しんでくださいね。



12月

夏は暑くて熱中症が怖いので、涼しくなったら庭の草取りをしようと思っているうちに、気がつけば草も自然に立ち枯れて、秋をゆっくり楽しむ間も無く今年も早冬に突入してしまいました。

12月の声を聞いた途端に、何か追い立てられるような気持ちになるのは歳のせいでしょうか。
若い頃は、ジングルベルを聞くとうきうきしたものですが・・・。
あっという間の1年だった気がしますが、いろいろ嬉しい事もありました。
念願だった鹿児島のしょうぶ学園の見学が出来た事、
夏の個展で中学のクラスメートと再会した事、
秩父巡礼を始めた事、などなど。

そして銅版画教室の展覧会が出来た事。レギュラークラスの生徒さんが少なくなって、作品数が心配でしたが、月1クラスの方達が頑張ってたくさん作品を出品されたので、見応えのある展覧会になりました。又普段会う事の無い火曜と水曜のの方達が一同に会し、銅版画クラスが一つになれたような気がしました。皆で協力して一つの事をやり遂げるというのは素敵な事だなと改めて思いました。

先日、東京庭園美術館に「アール・デコの花弁?クリスチャン・ボルタンスキー展」を見に行きました。
「さざめく亡霊達」というタイトルの作品は声の作品です。ヒソヒソした話し声、囁きが、何も無い部屋に聞こえてきます。それはこの館に関わりのあった人達の亡霊?アール・デコの歴史ある建物だから、いろんな人達のいろんな思いが残っているような気がします。
築20年のちいさな我が家でさえも亡き夫や愛犬の魂のような何かが居るような気がするのですから・・・。
その他「影の劇場」や「心臓音」なども生と死を感じさせる作品です。
一番心に残ったのが、映像作品「アニミタス」と「ささやきの森」。チリの砂漠と、香川県の豊島の森、遠く離れた全く環境の違う二つの地で、無数の南部鉄の風鈴が鳴っている。そして風鈴の短冊には、たくさんの人の大切な人の名前が書かれている。亡き人への思い、亡き人の思いが自然の中で風に吹かれて優しい音を奏でている。穏やかで静かな風景です。
美術館から出ると、早くも庭園には夜の帳が降り、紅葉がライトアップされて闇に浮かび上がっていました。
いよいよ冬の到来です。だんだん秋も深まって、朝晩は肌寒くなり、猫がお布団に入って来る季節になりました。(犬は一年中入って来るけど)


ログ・アトリエでは子供絵画・造形クラス、各種大人クラスがあります。詳しくはお問い合わせ下さい。
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