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さとうしのぶコラム バックナンバー2015



1月

 明けましておめでとうございます。

 新年は、羽黒山の雪の中で、松明の中、松例際という神事を見ながら迎えました。
年を越すという事の重みを感じる年明けでした。
 私の人生で自宅以外で年を越すのは始めてです。
 元旦の朝、ホテルの窓から雪化粧した酒田の町を見ていたら、河原から白鳥が5,6羽ずつ幾群れも飛び立って青空を横切ってゆきました。さすが北国。
 その後、蔵王に樹氷を見に行きましたが、吹雪のため、空と地と樹の境目も判らないくらいただただ白い世界。マイナス13℃の寒さに凍りつきそうで早々に雪上車に戻りましたが、この清らかな白のように新たな気持ちで、自然体で今年を生きていこうと思いました。 

 今年はどんな年になるのでしょうか。
 世の中はどんどん変化してゆき、その中で私自身も変わってゆくのだと思います。が、周囲に流されること無く、自分で考え、判断し、行動してゆきたいと思っています。

 今年の銅版画クラスですが、来年あたり又作品展ができるように、特に月1クラスの方は、少し時間をかけてじっくりと大作を制作してみてはどうかと考えています。
 私の場合も、何も考えずにさらっと出来てしまうのがイチバンいい作品になるけれど、手を加え、手を加え作り上げた作品には厚みがある。適当なところで妥協してしまった作品は中途半端感が拭えない。

 作品作りは自分と向き合う作業なので、どうしてもその時の自分が出てしまいます。
楽しい自分、悲しい自分・・・今年はどんな自分に出会えるでしょうか。そしてどんな作品ができるでしょうか。


2月

梅の花がチラホラほころび、春を思わせる日があれば、寒風吹き荒れる日もあり、まるでイソップの「北風と太陽」のようです。

私は紫外線アレルギーがあり、3月頃から目が痒くなり、顔、首と広がってゆきます。今年は1月だというのに、もう目が痒くなり始めました。
紫外線にはサングラスが効果的で、私には必需品ですが、毎年失くしてしまいます。今年はちょっといいのを新調しようと、物井にあるオシャレな眼鏡屋さんcosyで素敵なサングラスを作りました。

夕方の犬の散歩にサングラスは必要無いのですが、この時期にアレルギーが出るのは花粉症の疑いもあるので、かけて行きます。
薄暗い木立ちは暗さが増して恐い感じです。
淡いピンクの夕空にグレーの雲がたなびき、穏やかな一日の終わりという風景は・・・、燃えるような朱の空と、黒々とした雲、黒い木々とのコントラストもくっきりと何やらドラマチックな風景に変貌します。

野鳥を見つけたりすると、サングラスを少しずらして本来の色を確認し、「ああ、じょうびたきね」などと言って又、街灯がノスタルジックなオレンジ色に灯る怪しい景色にに戻ってゆきます。。
日の入りが日一日と長くなる夕刻の散歩の最近の楽しみです。

 今年もいろいろな展覧会に参加する予定がありますが、その最初が、上田の「心の花美術館」で13日から開かれる「春のねこ展」です。
 世に猫好きの人は多いらしく「ねこ展」と名の付く展覧会が毎年各地で開かれています。
犬は、これが同じ犬なのかと思うくらい犬種によって大きさや形が違います。でも猫はだいたい同じです。だから猫好きの人は自分の猫と同じでなくても、猫の絵やグッズが大好きです。
 我が家には三毛猫の小梅がいますが、私は写実的な絵は描かないのでスケッチはしません。
でも毎日見ているので、猫の形はわかっています。思い出しながら作品をつくります。そんなふうにして作った小さな版画と小さな陶のオブジェを出品します。

 この冬、長野も雪が多いそうですが、雪のなかの小さな美術館に猫達に会いに出かけてみませんか?

 
3月

 三寒四温のこの頃ですが、道端にオオイヌノフグリのかわいいブルーが目につき始め、庭では黄色い水仙の周りにいつの間にかハコベやホトケノザが生い茂り、春が来たよ−と言っています。

 ログ・アトリエの教室には、銅版画クラスの生徒さんから頂いた、百年前の格調あるお雛様と桃の花が飾られ華やいだ雰囲気です。

 去る2月11日、幕張の中華料理店で、遅ればせながら銅版画クラスの新年会がありました。
 今回は久しぶりの新年会だったので、同窓会を兼ねて今はもう在籍されていない方にも声をかけ、3人の卒業生が参加してくれました。懐かしい方達、昨年入会されて初対面の人もいるという方、一度退会したけれど又復帰しておひさしぶりの方。新旧入り混じって楽しいひと時を過ごしました。人生には、出会いがあり、別れがあり、そして再会というのがあるんだなあと、何だか嬉しい気持ちになりました。
 やはり同じ釜の飯ではないけれど、同じ出前のラーメンを食べて頑張った仲間はいいなあと思いました。

 そうこうしている内に早3月。
つぎつぎといろんな花が咲き始め、花粉症ではない私には外歩きが楽しい季節です。
 同時に3月と言えば東日本大震災を思い出します。あれから4年が経ったけれど、被災された方にとっては辛い思い出の月なのかも知れないと思うと複雑な気持ちです。

 子供クラスは6年生が小学校卒業に伴いログの子供クラスも卒業します。ログの他のクラスに移る子もいますが、退会する子が多く寂しい季節です。私には子供がいませんでしたので、幼稚園の頃からずっと成長を見てきた子供が中学生になるのは感慨深いものがあります。ログでの時間がいい思い出になってくれればと思います。

 大人のクラスは卒業がないので、ベテランがいっぱいです。
 ログゥ展のメンバーは今年も5月の展覧会に向けて制作に拍車がかかってきました。
 昨年の共同制作「注文の多い料理店」の製本をする人、個展のための作品を作る人、新しい技法に挑戦する人、銅版画クラスのそれぞれの春です。



4月

やって来ました、春爛漫。

 我が家の小さな庭も、
椿、水仙、クリスマスローズ、チューリップ、パンジー、ビオラ、あけび、ローズマリー、ラベンダー、ムスカリ、トリテリア、カイガラソウ、チオノドクサ、オキザリス、マーガレットなどが色とりどりの花を咲かせて命を謳歌しています。

 庭からは外れますが、門柱とアスファルトの道路の隙間から毎年ど根性アネモネが顔を出します。
土など全く無いように見えるのに、今年は6個も花をつけました。近所の方や宅配便のおにいさんも「偉いねえ」と足を止めて見ています。
与えられた場所で、黙って美しく咲いている花の姿に心打たれるのでしょう。
 

 先日、暖かい日差しに誘われて、井の頭公園にお花見に行って来ました。
池の面に映る満開の桜が美しく、うららかな春の一日を楽しみました。池の周りは、花もいっぱい人もいっぱいで、お弁当と缶ビールは自然文化園で頂くことにしました。
ここには私より3歳年上の68歳の像の花子がいます。小学校1年生の遠足で、花子の前で撮った集合写真が探せばどこかにあるはずです。あれから約60年、「お互い年をとったね。私の人生にも色んな事があったけど、その間花子はずーっとこの像舎で何を思って生きてきたの?」と尋ねたい気持ちがしました。

  3月は、精神科の診療所の待合室に壁画を描く仕事がありました。日曜日ごとに描いて4日で完成しましたが、平衡感覚の悪い私は脚立の上で緊張し続けて、帰りはどっと疲れました。
でも普段は机の上での仕事なので、大きな壁面に描くのはとても気持ちがいいものです。いつもの私の絵とは全く違いますが、患者さんの気持ちが少しでも癒されればと思って描きました。日本ではあまり見かけませんが、アメリカなどでは病院の壁によく絵が描かれているそうです。アートの力で患者さんの不安を和らげることができたらすばらしいですね。

 大人のクラスは新学期という事も無いけれど、銅版画クラスは水曜日に石川知子先生が入り、新しい爽やかな風が吹くような予感と期待が・・・。
生徒の皆さんも気持ちを新たに今年度も頑張りましょう。



5月

我が家の庭もパンジーやチューリップが終わり、シャガやひなげし、シラユキケシ、マツナミソウなど野の草のような花達が咲いています。
手入れをしていない薔薇もけなげに咲き始めました。

 4月30日、10数年にわたり個展をして頂いた藤沢、鵠沼海岸の「創造ギャラリーれい」が閉廊しました。

 最後の日、長年お世話になったお礼が言いたいのと、企画展以外は陶器やガラスなどの使える作品を販売していたので、何か小さな物でも記念に買いたいと思い出かけました。

 お昼前に着いたのですが、看板も外され、部屋は空っぽ、明かりも消された薄暗いギャラリーでれいさんが大家さんに鍵を返したところでした。4月末日まで営業していると思っていたら4月いっぱいであけ渡すという事だったようで、ギャラリーとしての最後の姿を見ることはできませんでしたが、図らずも本当の最後に立ち会う事になり、閉まってゆくシャッターに「ありがとうございました」と頭をさげました。

 2年前には20年お世話になった西千葉の「画廊椿」が閉まり、ひとつの時代が終わってゆく寂しさを感じてしまいますが、両画廊ともオーナーのお人柄が魅力的で楽しい時間を過ごせた事に感謝の気持ちでいっぱいです。

 れいさんとお昼を食べてお別れをした後、 江ノ電で鎌倉へ・・・。連休中とあって人がいっぱいでしたが、北鎌倉までぶらぶら歩きました。
建長寺では牡丹の花が咲き誇り、もみじの新緑が美しい参道を歩きながら、季節の移ろい、世の中の移り変わりに諸行無常を感じました。
古刹の静寂の中で仏様はそれをずーっと見ていらっしゃるようでした。

 5月に入り爽やかな気持ちの良い日が続いています。
版画を制作するのも、観るのもよい季節です。

 5月22〜27日、ログ・アトリエ銅版画クラス有志による「ログゥ展」が今年も古島ギャラリーで開催されます。
5人それぞれの個性あふれる力作をぜひご覧ください。

 私が参加している「アニモ銅版画クラブ展」も同時期21〜26日、
スペース・ガレリアで開かれていますので、足を延ばして頂ければ幸いです

6月


庭の紫陽花が色づき始め、紫から白に変わったバンマツリの香りが部屋の中まで漂ってきて、梅雨も間近という感じです。
が、すでに夏のような暑さが続いていて私はちょっとバテぎみです。
 
 私はこの春から、通信で仏教の勉強を始めました。
宗派に関係無く基本を学ぶ入門コースですが、3科目のレポートと2回の修行が必須です。

その1回目の修行が、5月の連休に2泊3日で上総中野にある妙厳寺で行われました。

 自然に囲まれ、鶯の声だけが聞こえる静かなお寺で、心の洗濯をしてきました。
とは言っても、一番の感想は足の痛さです。
朝夕のお勤め、講義、食事、すべて正座です。たぶん私は今まで正座というものをした事が無かったような気がします。30分も座っていると身体が震えてきて先生のお話にも集中できなくなってしまいます。

作務(掃除、草取り、薪割りなど)は身体が動かせて楽しい時間です。
足の痛みをこらえながらも心に残ったのが食事の作法です。
一汁一菜の質素な食事ですが、音をたてず、他の人とほぼ同時に食べ終わらなければいけません。
男性は食べるのが早いので、最後のほうはあわてて口に詰め込みました。
食べ物を食べるという事は、命を頂くという事なので、おかずの小皿は、ちゃんと手に持って、ひとつひとつの野菜に感謝しながら頂きます。
全員が食べ終わると、当番がご飯茶碗にお茶を注いでくれます。そのお茶をお椀と小皿にも注ぎ分け、一枚残した沢庵できれいに洗い飲み干します。そんな場面をTVで見た事があり、食器洗いの水を節約しているのかと思っていましたが、そうではなく、茶碗についたおかゆのネバネバや、お皿」についた汁の一滴も命の一部なので無駄にせず頂くという事でした。
 修行から戻り冷蔵庫をみると、しなびかかった菜っ葉や賞味期限の切れた食品があり、
なんと命を無駄にしていたかとおおいに反省しました。
以後料理をするときは、ナスのへたなどはなるだけ小さく落とし、にんじんやトマトなどは皮ごと食べるようになりました。
 晩酌の時も、ビールには、大麦さんホップさんありがとう、ワインには葡萄さんありがとうと心で言っておいしく頂いています。

 生きとし生けるものはすべて大自然、大宇宙の一部なのだと気付かされたことが大きな収穫でした。

 そんな事があり、作品のテーマも少し変わってきたような気がします。
 6月29日から京橋のK'sGallery で個展をします。興味のある方は見に来て頂ければ嬉しいです。




7月
超高速で今年も半分が過ぎて行ってしまいました。
雨傘より日傘の出番が多いような気がする梅雨ですが、今年はどんな夏になるのでしょうか。

 我が家の庭は毎年おしろい花が生い茂る場所に今年はミントが大繁殖しています。増えすぎたのでだいぶ抜いたのですが、葉がみずみずしくて香りもいいので、猫に悪戯されないトイレやキッチンの窓辺、お仏壇にも飾っています。又、ミント水やミント氷は、うっとうしい季節をほんの少し爽やかにしてくれます。
 先日プランターにベビーリーフの種を撒きました。数日で芽が出てどんどん成長するので2回くらいまびいてサラダにして食べたのですが、やわらかくて美味しいのは虫も同じらしく気が付いたらこれからが食べごろの葉っぱが茎と葉脈だけになっていました。対策はあるのかもしれないけれど、仏教の修行をしたせいか、虫も同じ命ある仲間だから、分け合えばいいじゃないかという気持ちで、再び種を撒きました。

 6月は何をしたかなあと思い出そうとするのに、何も思い出せないので、日記を見たら、そうだ! 庭園美術館に「マスク展」を見に行ったのでした。
庭園美術館はその時の展示にちなんだ物を身に着けて行くと100円おまけしてくれるので、オブジェにするつもりで作った陶の顔にヒートンを付けて紐を通し、ペンダントにして行きました。
顔をテーマにした絵や造形物でも、自然物や人工物でも顔に見えてしまう物にはつい目が行ってしまうのは、人は人に一番興味を持っているからでしょうか?
マスク展にはアフリカ、アジア、オセアニア、アメリカ、の仮面が出品されていて、素材も木、石、革、植物、動物の歯や毛などいろいろです。顔に被る物、頭に被る物、胸に下げる物、どうやって使うか分からないような物など用途によって形や大きさもさまざまですが、人間の変身願望は世界共通なのですね。
仮面は被ることによって、神や精霊など異界の者や動物や他の人格に変身する装置のような物だから、人が被っていない時の仮面はただの物なのだけれど、仮面自体に魂が宿ってしまっているようで、恐いけれど心惹かれてしまうのです。
そういえば、「マスク」という映画があったなあ。やはりマスクを被ると人格が変わってしまうお話で、コメディーだけどマスクが何かを暗示しているようで恐かった。
 我が家に始めてTVがきた昭和30年代の初め、月光仮面が子供達のヒーローでした。
月光仮面は正義の味方のいい人なのですが、子供心にハヤテのように去って行った月光仮面が家に帰って仮面をとったら普通のおじさんなのかなと思っていました。

仮面を被ると人はいい人にも悪い人にもなれる。
仮面夫婦という言葉もあるけれど、ありのままの素顔で生きてゆくのがいちばんいいような気がします。


8月


暑い! 連日34℃を越す暑さにもうグッタリ。
今年高齢者の仲間入りをする私は熱中症も人事ではありません。我が家の庭も叢と化していますが、草取りをしに出てゆく勇気がありません。
 そんな暑さから逃れたいと北海道に行ってきたのですが、やはり30℃超えでびっくり。
 世界自然遺産の知床で野生動物を見るツアーで、知床五湖巡るコースでは歩く前にレクチャーを受けヒグマに出会った時の対処法などを学びます。
7月はヒグマのシーズンなので、ネーチャーガイドと一緒でなければ森へ入れません。10人ごとのグループで10分おきに出発します。

一湖から五湖まである湖の五湖から回ります。五湖は森に囲まれた静かな湖でルリイトトンボという小さくてきれいなブルーのトンボがたくさん飛んでいました。
四湖に向かう道の途中では、山葡萄の蔓がからんだ木にはヒグマの爪あとが残っていたり、古い糞があったりして、ヒグマの森におじゃましている感がいっぱいです。
そんな森を進んで、四湖が見えてきたその時、ガイドさんが「あっ!熊がいます」と言うので、視線の先を見ると前方奥の方に岩のように大きなヒグマが坐っているのが見えました。
こちらに気付いたのかヒグマは立ち上がり歩き始めました。私は一瞬固まりましたが、ガイドさんの「大丈夫です。大丈夫です。」という声が心強く、皆でソロソロと森の入り口まで引き返しました。私には見えませんでしたが、もう1匹去年生まれた小熊がいたらしく、危険だということで森は閉鎖されてしまいました。
一湖だけは木道がついていて、電線も通っているので安全ということで、残雪の知床連山を湖面に映す美しい一湖を見た後、ガイドさんお薦めの別の森へ案内してもらい、エゾシカを何頭も見ることができました。人間がエゾオオカミを絶滅させてしまったので、天敵のいなくなったエゾシカが増えすぎて森の木に被害がでているそうです。
夜のウオッチングは車の中からの観察ですが、キタキツネやエゾタヌキ、シマフクロウをみることができました。そして天の川も・・・
次の日は、羅臼から舟に乗り、目の前に国後の見える海でのウオッチングです。漁船と間違えてフルマカモメがたくさん寄ってきます。
イシイルカは海面から飛び上がらないので、背中だけしか見えないのですが、幾つかの群れと出会いました。マッコウクジラは遠くからでも潮を吹いているのがよく分かり、全体像はつかめなかったけれど、もぐる時に跳ね上げるあの大きな尾を見れて感動しました。

両日ともネーチャーガイドは若い女性でした。動物好きな私はたくさん質問して、いろんな事を教えてもらいました。お二人とも本当に動物が好きで、自然が大好きなんだという事が伝わってきて、日焼けした顔が眩しく見えました。

私も日常に戻って好きな事を一生懸命やろうと思ったのでした。





9月

今年の夏は暑かった。もともと暑さは苦手だし、8月は、母が逝き、夫が逝った悲しい月なので、私はいつもはやく夏が過ぎて秋にならないかと思っています。ところが、今年は例年なら残暑厳しい8月末から朝夕涼しく、蝉の声も弱々しくなり秋の気配がただよっています。本当にこのまま秋に突入してしまうのでしょうか。

7月の個展の期間中に8月の個展の話しが持ち上がりました。準備期間が一月しかないので、ちょっと心配でしたが、根津という場所がおもしろそうなのでお引き受けしました。たまたまその場に居合わせた友人2名も準備委員になり、DM作りやワークショップの準備など着々と進めてくれました。
私は手持ちの作品で何とかなるだろうと高を括っていたのですが、下見に行くと、大きな吹き抜けの壁面があったり、1階の明るい開けた空間とは変わり、2階は落ち着いた雰囲気でおもしろい展示ができそうでした。
7月に版画展をやったばかりなので、壁面は布作品を中心にということになりました。手持ちは自宅の窓に掛けている蚊帳を使った作品と、階段の壁に掛けてある布に刷った版画をアップリケした作品の2点だけなので、新作を4点作りました。布は一針一針縫っていると心が落ち着くので、作品の出来より、作る過程を楽しんでいます。銅板を使った作品や陶のオブジェも作りました。
仏教のレポート提出の期限が迫っていたので焦りましたが、やっぱり私はお勉強より物造りの方がだんぜん楽しいという事を自覚しました。そしてこういう幸せな時間を大切にしたいと思いました。
展覧会はお盆、酷暑にもかかわらずたくさんのお客様に来て頂きほっとしました。
ワークショップは私の版画をテープ状にカットしたものと細いワイヤーを縦横に織って、平面にも立体にもなるというもので、皆さん没頭して個性的な作品を制作されていました。楽しんで頂けたようで私も嬉しかったです。
そして、物を造る、表現する楽しさをもっとたくさんの人たちに伝えていくには、気軽に参加できるワークショップは取っ掛かりとしてよい方法かもしれないと思いました。
ログ・アトリエでも、銅版画に限らず、私が面白いと思ったものをワークショップの形で伝えていけたらと考えています。
さて、私はこれから9月の個展と「かお・顔・面」展の作品を一人ニヤニヤしながら作りたいと思います。


10月

朝晩はひんやりとして、虫の声も弱々しくなってきたけれど、昼間は半袖の日もあるし、扇風機もまだしまえないでいます。
先日、庭とプランターにチューリップ、アネモネ、フリージャ、春に掘り出しておいて何だか分からなくなった球根を植えたのですが、日中は暑いので少し涼しくなってからと思っていたら、ぐずぐずしているうちに薄暗くなってしまいびっくり。いつの間にかこんなに日が短くなっていたのですね。
1日が短くなったようで何だか焦ってしまいます。

 4日の日曜日、浅草のアサヒアートスクエアに「みやざきの神楽シンポジウムーかぐらという祝祭空間へ」という催しに行ってきました。
会場内は人工芝が敷き詰められ、本来は夜通し舞うということで、黒一色の壁面には古い神楽面がかざられています。舞台は本場と同じく鳥居の前の八畳くらいの場所の四隅に柱を立て、その間をしめ縄で囲んで、上には天蓋のような紙の飾りもあり、神聖な場所を現しています。

午前中はシンポジウムで、布良地方の神楽についてのお勉強をし、午後からは6時間ぶっ通しで12演目の神楽ざんまい。

 人工芝に坐って、布良のおかあさん達手作りのお煮しめや、お漬物や、おこわなどを食べながら、ビールや、ふるまいの焼酎などを飲んで本場の雰囲気満点の鑑賞です。

神楽を見るのは始めてだったので、もっとゆったりした舞なのかと思っていたら、けっこう激しい動きでびっくり。
一人、二人、四人で舞うものがあります。内容は記紀神話に地元の伝承が混ざっているらしいのですが・・・。
白装束に赤いたすき、右手に鈴、左手は扇や、刀、弓など内容によってかわります。お囃子は単調なリズムですが、軽快な足裁きで30分以上舞続けるので、後半は汗だくで顔には疲労の色があらわれてきます。
最後は朦朧として舞っている感じですが、舞い終わると達成感でとてもいい表情になります。途中、さっきまで料理を作っていたおかあさん達がお囃子に合わせて歌います。すると苦しそうだった舞手の表情に微笑みが浮かび、地元の人達のきずなのようなものを感じました。クライマックスの面をつけた舞は面に迫力があり引き込まれます。

動きが激しいので若い人にしか勤まらないそうですが、ちゃんと後継者が育ち、若いエネルギーで伝統をつないでいるのはすばらしいと思います。

昔、日本人は皆、神様と一緒に生きていたんだなあと実感した一日でした。



11月 毎日バタバタしているうちに、我が家の庭はコスモスや薔薇から山茶花に替わっていました。南天も赤い実をつけ、秋は赤がきれいな季節です。

もっと見事な赤を見ようと、小海線甲斐大泉近くにある八ヶ岳倶楽部に行ってきました。八ヶ岳」倶楽部は、俳優の柳生博さんが家族や仲間達と1本1本木を植え、枕木で木道を作り、丹念に手入れをして、30年かかって作り上げた広葉樹の雑木林です。息子で園芸家の柳生真吾さんが雑誌に書いていた「八ヶ岳便り」を読んでいたので、一度は訪れてみたいと思っているうちに、真吾さんは5月に亡くなられてしまいました。

当日は生憎の雨で、この秋いちばんの冷え込みということでしたが、妹との約束だったので思い切ってでかけました。
駅からタクシーで5分。着いたら丁度お昼だったのでレストランに直行。窓辺の席で雨に濡れるウチワカエデの赤ともピンクともつかない美しい紅葉を見ながらワインで乾杯。サラダにはほうずきが乗っていて、初めて頂きましたがフルーツのように美味でした。最近、癌の発症率が高くなるとかで話題になったソーセージも、チーズやパスタも美味しくいただきました。
雑木林は紅葉も終盤、赤、黄、茶色の葉がはらはらはらはらと舞い落ちて、手入れの行き届いた林床の上に、ふかふかの絨毯のように散り敷いてしっとりと雨に濡れている景色は秋の深まりと冬の訪れを感じさせます。秋晴れの空ではないけれど、こんな寒々とした日も趣があっていいものです。
身体が冷えたのでレストランに戻り、赤々と燃える薪ストーブの傍で、白樺の梢を飛び渡るシジュウカラを眺めながら、果物がいっぱい入ったフルーツティーとケーキで又おしゃべり。煩雑な日常から離れてゆったりとした時間を楽しみました。
ギャラリーでは、木、布、陶、金属、ガラスなどの作家さん達の作品や手作りの小物、柳生親子の書籍、ガーデングッズ、お茶やジャムなどの食品も販売していて、時間の経つのを忘れます。寒くなったので、きれいな色の毛糸の手袋を買いました。
ステージでは、滋賀の古民家に住んでいるというブライアン ウイリアムさんの、日本の風景を描いた展覧会が開かれていました。
中庭では植物の苗や鉢植えなども売っていて、車できたら欲しい物がいっぱいです。
夕方になり、ようやく雨も上がったので、もう一度雑木林に行こうとしていたら、テラスで柳生博さんが「おいでおいで」と皆を呼んでいるので行ってみると、紅葉した木々の向こうに墨絵のような富士が、裾野に白いすじのような雲をたなびかせて、青黒くくっきりと現れていました。皆思わず歓声をあげて、刻一刻と変化する富士の姿を撮りまくりました。真吾さんの弟の宗助さんや、ブライアンさんも集まってきて、富士に見とれていました。真吾さんの姿がないのが淋しいけれど、きっと一緒にこの景色を見ていたとおもいます。
滞在時間5時間。本当にのんびりとくつろぐ事ができました。帰りのタクシーを待つ間、黒々とした森のシルエットの向こうの空がピンク色に染まり、雨上がりの巻雲と交じり合いドラマチックな景色を見せてくれました。
振り返るとお客さんのいなくなったレストランで柳生さんがひとりワインを飲んでいました。

私達人間も自然の一部だから、自然に触れるとこころ安らぐのでしょうね。
我が家の庭の鳥の餌台にもそろそろみかんなど乗せてあげましょう。
12月

今年は紅葉が遅いようで、今一初冬という感じもしないけれど、大掃除やお歳暮、年賀状作り、忘年会と年末の仕事は盛りだくさんです。

 いよいよ今年も後ひと月。時の流れが速すぎるのか、私が遅いのか、何だかめまぐるしい11ヶ月でした。
 12月28日は私の65回目の誕生日で、ついに私も高齢者の仲間入りをします。年金のお知らせや介護保険の被保険者証が届いたり、高齢者予防接種のご案内というのもきました。せっかくご案内くださったのだからと肺炎球菌予防接種というのをやってきたのですが、その晩ワインを飲んだのがいけなかったのか、肘の下まで腫れて三日目の今日もまだズキンズキンしています。年をとるという事はいろいろ大変なんだなあと、高齢者初心者の私は妙に納得してしまいました。
 気持ち的にはまだまだ中齢者のつもりですが、身体や頭はそれなりに衰えていて、重い物が持てなくなったり、物忘れがひどくなったり、情けなくなる事もありますが、そんな自分を受け入れて、今の自分にできる事をちゃんとやっていきたいと思っています。
 と、言いつつ、今日はどんよりと肌寒い日なので、ストーブの前で犬猫を膝に乗せて朝からず〜っとまったりしています。本当におばあさんみたいだけれど、正直こんな時間がいちばん幸せです。

 ログ・アトリエの銅版画教室では、年賀状講座の生徒さん達が、それぞれ個性的な申の年賀状を楽しそうに制作されています。皆さん銅版画は初めてですが、初めてなりの洗練されてない初々しさがあって素敵な作品になっています。私も初心を思い出して、素直な気持ちで作品を作りたいと思いました。いろんなこだわりを捨てて子供のように描けたら・・・。
 今まで65年間でたくさん身に着けてきた、知識や、思い込みや、考え方の習慣や、しがらみを、これからは一つ一つはがしてゆき、素の自分に戻っていく年代かなと思っています。
そんな事を考えると年をとるのも悪くないかなと思えてきます。そして、その時その時の自分を作品に表現できたらいいなと思います。年をとった私がどんな作品を作るのか楽しみです。
 
 今年もコラムを読んでくださった皆様、ありがとうございました。
 どうぞよいお年をお迎えください。

ログ・アトリエでは子供絵画・造形クラス、各種大人クラスがあります。詳しくはお問い合わせ下さい。
掲載されているイメージの無断転載はおやめください。
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